「音域は、どのくらい広がるの?」
「声量は、どのくらい増えるの?」
「腹式呼吸って何?」
「どうすれば、正しい音程で歌えるようになるの?」
そんなところから、A君の歌のレッスンはスタートしました。
初めてのレッスンでは、まず、無理なく出せる音域や声の特徴を確認しました。
当時、Aくんが地声で無理なく出せる一番高い音は、A(ラの音)でした。
普段話している声は少し高めだったため、
声の出し方や身体の使い方を身につけていけば、
C(ドの音)までは無理なく出せるようになるだろうと考え、基礎練習を始めました。
高い声を無理やり出すのではありません。
呼吸の仕方や姿勢、口の開け方、身体の使い方などを1つひとつ確認しながら、
本来持っている声を自然に出せるようにしていきます。
レッスンを始めて約3か月。
Aくんは、地声でC(ドの音)まで出せるようになり、
声量も以前の倍近くまで大きくなりました。
その後、3か月程(レッスン開始から半年程度)で、
さらにD♯(レ♯の音)まで出せるようになりました。
高い音だけでなく、低い音も以前より安定して出せるようになり、
レッスン開始時と比べると、無理なく使える音域は約2倍に広がりました。
もちろん、音域や声量の伸び方には個人差があります。
大切なのは、高い音を出すことだけを目標にするのではなく、
自分の声に合った正しい発声方法を知り、少しずつ使える声を増やしていくことです。
歌もダンスと同じように、基礎的なトレーニングが欠かせません。
腹式呼吸、姿勢、発声、音程、リズムなどの基礎力が身につくことで、
もともと持っている自分の声を、より魅力的に響かせられるようになります。
そして、自分自身で声の変化を実感できると、
「もっと上手になれるかもしれない」
「もう少し練習してみたい」
という気持ちが生まれます。
歌うことや練習することが楽しくなり、
上達するスピードも少しずつ変わっていきます。
歌のレッスンを始めた頃のAくんは、
舞台の上で1人で歌うことに不安を感じていました。
けれど現在は、
「舞台でパフォーマンスすることが楽しみ」
「たくさんのお客さんに歌を聴いてほしい」
と思えるほど、自信を持って歌えるようになりました。
声が出るようになったことだけが、Aくんの成長ではありません。
練習を重ねて「できなかったことができるようになった」という経験が、
舞台に立つ自信や、表現する楽しさにつながっています。
ボーカルクラスでは、音域や声量を広げるだけでなく、
声を使って気持ちや物語を表現することを目指しています。
1人ひとりの課題を確認しながら、できることを少しずつ増やし、
歌えるレパートリーを広げていきます。
最初は、本人が好きな曲や歌ってみたい曲から始めます。
その後は、声や歌い方の課題に合わせて、
楽しみながら必要な力を身につけられる曲を提案することもあります。
知らなかった作品や曲に出会えることも、
子どもたちにとっては1つの楽しみになっているようです。
また、男の子は成長する中で、変声期を迎えます。
これまで出ていた音が出しにくくなったり、声が安定しなかったりして、
「歌が下手になってしまった...」
と感じることもあります。
A君も、声変わりの時期に入ってきましたが、
レッスンを始めた頃から、
必ず変声期が来ること
自分でも驚くほど音域が変わること
これは成長の過程での変化であること
新しい自分の声や表現に出会える機会になること
を少しずつ話していました。
そのため、不安やネガティブな感情を抱えずに、練習に取り組んでいます!
まだまだ、変声期は続きそうですが、
負担なく、厚みのある男性の声質に移行できそうな印象を持ってます。
変化していく声を大切にしながら、
その時の身体や声の状態に合った方法で練習を続けることが、
将来の魅力的な歌声につながります。
その時に必要な練習を提案しながら、
自分らしい歌声を響かせられるようにサポートしていきたいと思います。
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