台本を読んでいると、子どもたちは自然とたくさんの「どうして?」に出会います。

 「この子は、どうしてこんなことを言ったんだろう?」
 「このセリフ、誰に向かって言っているのかな?」

ただ文字を読んで、セリフを覚えるだけではありません。
その言葉の前に何があったのか。
相手はどんな気持ちなのか。
自分の役は、今どんなことを考えているのか。
そんなことをひとつずつ考えながら、物語の中に入っていきます。

普段、私たちがおしゃべりをするときは、
まず心の中に何かしらの気持ちがあって、そこから言葉が出てきます。

 「うれしいから伝えたい」
 「悔しいから言い返したい」
 「心配だから聞いてみたい」
 「分かってほしいから話したい」

言葉より先に、気持ちがあります。
でも、お芝居では先にセリフが決まっています。
だからこそ、

「この言葉を言う前に、この役にはどんな気持ちがあったんだろう?」

と考える必要があります。
たとえば、
 「もういい!」
という短いセリフひとつでも、

 本当に怒っている?
 悲しくて強がっている?
 恥ずかしくてごまかしている?


その言葉にたどり着くまでの気持ちによって、
声の出し方も、表情も、相手への伝わり方も変わります。
だからミュージカルのレッスンでは、
 「大きな声で言ってみよう」
だけではなく、

 「このとき、どんな気持ちだったと思う?」
 「その前に何があった?」
 「どうしてこの言葉を言いたくなったのかな?」
 「誰に伝えたい言葉かな?」

と考える時間も大切にしています。
文章に書かれていることだけではなく、その奥にある気持ちや理由を想像してみる。
これは、物語を理解するうえでとても大切な力です。
台本の中には、すべての答えが書いてあるわけではありません。

だからこそ、
 「私はこう思う」
 「たぶん、こういう気持ちなんじゃないかな」
と、自分なりに考えることができます。

同じ役、同じセリフでも、子どもによって感じ方が違うこともあります。
 「私は悲しいと思った」
 「ぼくは怒ってるんだと思う」
そんな違いが出てくるのも、おもしろいところです。

誰かの考えを聞いて、
 「そんな見方もあるんだ!」
と気づくこともあります。

台本を読むことは、正解をひとつ探すことではありません。

言葉を読み、
場面を想像し、
その言葉の手前にある気持ちを考え、
自分なりの答えを見つけていくこと。
そして最後は、それを声や表情、身体を使って表現します。

文字で読んだ物語が、自分の中でどんどん立体的になっていく。
それが、台本を読むおもしろさです。

「読む」というと、机に向かって本を読むことを思い浮かべるかもしれません。
でもミュージカルでは、

 読んで、
 考えて、
 想像して、
 動いて、
 誰かに伝える。

そんなふうに、物語をまるごと体験することができます。

 「この子は、どうしてこう言ったんだろう?」
 「この言葉の前には、どんな気持ちがあったんだろう?」
そんな小さな疑問から始まる時間も、
子どもたちが言葉や物語を深く味わう大切な経験のひとつです。

 台本を読むって、おもしろい!

そう思える経験が、
「もっと知りたい」「もっと読んでみたい」という気持ちにも
つながっていったらうれしいですね。






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